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成年後見という制度とは
成年後見というのは、簡単に言えば、成人対して法律行為を制限するための制度です。
例えば、未成年の場合、何かの契約などをしたくても、保護者の同意がなければその契約は成立しないことになっています。この保護者に該当するのが《後見人》というものです。
すでに成人した者は、原則的には自分の意思で契約などを行うことが出来ますが、これを後見人の承認なしでは成立しないようにする制度を言います。
介護が必要となった高齢者を保護するため、あるいは、一人暮らしの高齢者を守るためなどに、成年後見という制度を利用することが多いと言えるでしょう。世の中には、高齢者を騙して金品を奪い取るようなクズが多数存在するのも事実ですからね。
身内の人間関係が複雑な場合にも有効な手段
現在私は、当ブログの記事《介護の重要性と高齢者介護の未来について》でも少し触れているのですが、私から見て《祖母の妹》である大叔母の面倒を見ている立場にあります。
なぜ私が面倒を見ているのかというと、この大叔母の旦那さんはすでに他界していて、現在は義理の娘が1人います。ですが、ほとんど連絡が取れていない状態だったらしいのです。
そんなときに、大叔母が脳内の出血で倒れてしまったのですが、娘の連絡先が分からず、一番近い身内ということで私に連絡が入ったんです。私自身も、大叔母の義理の娘に連絡をしたのですが、聞いていた電話はすでに使われておらず、そこからの手続き等は私がすることになった次第です。
以来、月に1回程度ですが、私は大叔母が入院している施設に見舞いに行っています。他には、時々近所の方が来てくれる程度で、私以外に見舞ってくる人はいないような状態です。
ですが、大叔母の意識が戻って、いろいろと話を聞いていると、実はその義理の娘、時々連絡してきてはお金の無心をしていたそうで、それ以外の連絡は一切なかったそうなんです。
こういった、面倒な身内の人間関係に対抗するためにも、成年後見という制度は有効な手段だと言えますね。
成年後見の手続きを個人でする場合
成年後見には《法定後見制度》と《任意後見制度》があります。
さらに、法定後見制度には《後見》《保佐》《補助》というものに分けられていて、それぞれに権限の範囲が違ってきます。ここでは、法定後見制度の内容について簡単に話して行きたいと思います。
①後見
『認知症・知的障害・精神障害などにより、判断能力を常に欠く状態にあり、日常の買い物もひとりでは難しい方、日常生活に常に支援が必要な方』に対して、後見人となることが出来ます。
家庭裁判所に請求できる人は《本人・配偶者・四親等内の親族・市町村長・任意後見人》などとなります。
後見人は、全ての法律行為を取り消す権限を持っていて、その際の本人の同意は不要となります。ただし、日常生活に関することは除かれます。
家庭裁判所に請求できる人は《本人・配偶者・四親等内の親族・市町村長・任意後見人》などとなります。
②保佐
『認知症・知的障害・精神障害などにより、判断能力が著しく不十分で、日常の買い物はひとりでできるが、重要な財産の管理・処分などは難しい方、日常生活にかなりの部分で支援の必要な方』に対して、保佐人となることができます。
家庭裁判所に請求できる人は、後見人と同様に《本人・配偶者・四親等内の親族・市町村長・任意後見人》などとなります。
保佐人は、民法13条の1項に定める行為に限り、取り消しの権限を持っていますが、その際の本人の同意は不要となります。ただし、後見人と同様、日常生活に関することは除かれます。
③補助
『認知症・知的障害・精神障害などにより、判断能力が不十分で、重要な財産管理などをひとりですることが不安な方、日常生活にある程度支援の必要な方』に対して、補助人となることができます。
家庭裁判所に請求できる人は、後見人・保佐人と同様で《本人・配偶者・四親等内の親族・市町村長・任意後見人》などとなります。
補助人は、申し立ての範囲内で家庭裁判所が定める法律行為(民法13条1項に定める行為の一部)に限り、取り消しの権限を持っています。ただし、後見人や保佐人と違い、補助人が取り消しを行う場合には、本人の同意が必要となります。
日常生活に関することについては、後見人・保佐人と同様に除かれることになります。
上記のように、成年後見の手続きというのは、家庭裁判所に提出するための書類を作ったりする必要があり、おそらく個人での手続きは難易度が高いと言えるでしょう。
やはり成年後見の手続きを行うには、専門家である《弁護士・司法書士》に頼んで、手続きを行うほうが無難だと言えます。
民法13条1項に定められた法律行為とは
保佐人や補助人が、取り消せる法律行為の範囲について、どんなものがあるのかを以下に挙げてみたいと思います。
- 貸した土地、建物、お金を返してもらったり、これらを他人に貸したり預けたりすること
- お金を借りたり、他人の保証人になること
- 不動産や高価な財産を売り買いしたり、貸したり、担保をつけるなどすること
- 訴訟を起こしたり、訴訟を取り下げたりすること
- 贈与、和解をしたり、仲裁契約をすること
- 相続を承認、放棄したり、遺産分割をすること
- 贈与や遺贈を断ったり、何かを負担することを条件とした贈与や遺贈を受けることを承諾すること
- 新築、改築、増築、大修繕の契約をすること
- 宅地を5年以上、建物を3年以上、動産を半年以上にわたって貸す契約をすること
これら9つの法律行為が、民法13条の1項に定められたものとなります。保佐人に関しては、これら9つの全てを取り消す権限を持っていますが、補助人に関しては、この中の一部が権限の範囲となっています。
あとがき
今回は、成年後見についてお話してきましたが、いかがだったでしょうか。
私はまだ、成年後見の手続きを行っていないのですが、この先いずれはしなければいけないと思っています。
私としては、弁護士や司法書士に頼むほうが良いと思うのですが、どうしても自分で手続きしたい方の場合は、まずお近くの介護施設に問い合わせて、ケアマネージャーなどに相談することから始めることをお勧めします。
無料で詳しく教えてくれるので、ぜひ利用してみて下さい。
それでは、今回はこの辺で。