日本アニメの実写化は作品の質を下げる?

名作の実写化

日本アニメーションの質は世界トップ

日本のアニメーションは、世界でも類を見ないほどのクォリティーの高さで評価されています。

さらに、原作であるマンガや小説なども、名作が揃っていて、実写でこの世界観を表現することは、はっきり言って無理があると思うんです。これは恐らく、ほとんどの方が感じているところではないでしょうか。

現実には有り得ないことを表現する手段として、アニメーションというジャンルがあるのであって、これを無理に実写化している昨今の映像業界にはうんざりしているのが大多数の意見だと思います。

せっかくの名作アニメが、実写化されることで作品の質を落としてしまう。こんなことは出来ることならやめてほしいと願ってしまいます。

実写化の出来上がりに幻滅した作品

往年の名作が、実写化されることによって、残念を通り越して言葉も出なかった作品というのは、少なくないはずです。少し例を挙げてみましょう。

①ドラゴンボール

ハリウッドによって実写化された、この歴史に残る名作が、原作のイメージどころか世界観までもが勝手に作り替えられ、全く別物の駄作になっていたのは記憶に新しいと思います。

どの程度の予算を組んで、この映画を録ったのかは分かりませんが、仮に予算を大きく使っていたとしても、あの仕上がりは、お世辞にも面白いとは言えない出来でした。なんだか、日本が世界に誇る作品を汚された想いがします。

やはり、創る側の意識の低さが出来上がりに表れています。本当にドラゴンボールという作品を愛していたのであれば、もう少しましな映画になっていたはずなんです。

②科学忍者隊ガッチャマン

これはもう、原作のイメージ云々ではなくて、キャストの話題性だけで造った映画だと言えます。

キャストを若者に人気のある役者で揃えて、とにかく劇場に足を運ばせる狙いが見え見えのムービーでしたね。アニメーションのガッチャマンを完全に無視してると思われても仕方ない出来上がりでした。

こういう『ビジネスライク』なやり方は、作品を汚していることになります。たとえ制作側にそんな意図がなかったとしても、人はそう思うものなんですよね。

非常に残念な実写でした。

③ヤッターマン

アニメーションを実写化した作品の中では、ましな出来上がりだった映画ですね。

キャスト的にも、ボヤッキーに生瀬勝久さんを起用している辺りは、観る側の感覚としてもピッタリなので、良いキャスティングだったと思います。

ドロンジョ役の深田恭子さんも、イメージ的には合っていたと思えますし、アニメーションの実写化では、わりと成功している部類に入る作品だったと言えますね。CGの使い方も無理矢理感がなくてナチュラルだったと思えます。

ただ、ストーリー的には、やはり無理矢理感が出ていたのは否めませんね。ヤッターマン1号とドロンジョが惹かれあうシーンは、はっきり言って邪魔だったと言えます。

タイムボカンシリーズというのは、『善と悪』が分かりすぎるくらいにハッキリと別れているのが魅力の一つなのですからね。

同じ実写化するなら才能ある人が創るべき

ドラゴンボールの実写化というのは、すでに創られて何年も経っている今でさえ、はっきり言って反対なんですよ。あの世界観を実写で忠実に表現することは不可能ですからね。

でも、同じ実写化されるのであれば、別の作品のように仕上がってしまうのであれば、やはり面白い作品にしてくれる可能性がある人に創ってもらいたい。

そういう意味で人選をするのであれば、ハリウッドとは規模も使える予算も遠く及ばないですが、チャウ・シンチーのような人が創るべきだと思うんですよね。あの人の独創性は真似できないところが多いですから。

私なりに、チャウ・シンチーが良いと思う理由を挙げてみたいと思います。

①武術の基本ができている

ドラゴンボールは、冒険ストーリーですが、それと並んでやはり格闘が魅力の作品です。

格闘アクションというのは、見た目の筋肉だけではなく、その土台となる俊敏で瞬発性のある肉体が必要不可欠だと言えます。

チャウ・シンチーの格闘アクションは、その土台がきっちりと出来ています。その上で、ワイヤーアクションなども織り交ぜることによって、彼独特のドラゴンボールの世界観を表現してくれるのでは、と思えるんですよ。

②過去の作品からも期待が持てる

チャウ・シンチーの過去の作品からも、もしドラゴンボールを実写化すれば、面白そうな仕上がりが期待できます。

例えば《カンフーハッスル》や《少林サッカー》さらに《西遊記~はじまりのはじまり~》などを観ても、楽しい映画に仕上げてくれるのではないか、と可能性を感じます。

同じ別物のような映画に仕上がるのであれば、チャウ・シンチーの持つ独特の表現方法が、ドラゴンボールに合っているのではないかと思えるんですよ。

③表現力豊かな脇役陣の魅力

これまでの彼の映画でも出ている、数々の脇を固める役者たち。1人1人に個性があって、観る者を飽きさせない魅力が溢れています。

これら魅力溢れる名優達が、画面狭しと動き回る躍動感は、ドラゴンボールの世界にはピッタリだと思えるんですよね。元々みんなが武術などの土台を持っていますから、アクションシーンも自らの肉体を使った派手なものが期待できますしね。

だいたい、ドラゴンボールというのは、元々が西遊記のパロディのような感じで始まった作品ですから、香港映画の世界が合うような気がします。ハリウッドでは水が合わないように思えるのは私だけではないはずです。

と、まぁ、こんな感じで私なりに理由を述べさせて頂きました。

人それぞれ感じる部分はあるでしょう。「なに言ってんだ、こいつは?」と思った方もおられるでしょうし、「うん。おれもそう思うわ」と感じてくれた方もいるでしょう。

でも、チャウ・シンチーであれば、きっと楽しい映画に仕上げてくれたのではないか、と思えてしまうんです。

あとがき

今は少し落ち着きましたが、少し前までは、やたらと実写化されていたアニメ作品。

実写化しようという心意気は分かるのですが、正直言ってビジネスライクに走りすぎていた面が大きすぎます。もっと名作というものを大切にしてもらいたいですね。

そして、同じ実写化をするのであれば、楽しめる作品にしてもらいたいです。そのためには、創る側の人選というのが重要になっていきます。

その作品の世界観に合ったものを創れるスタッフで制作すれば、原作を愛しているファンも納得してくれるのではないでしょうか。

それでは、今回はこの辺で。