一つの作品を売り出すための労力と時間がすごい

作品を作る苦しみ

マンガや小説は夢や希望を与えてくれる

みなさんにも、心に残っているマンガや人生観を変えてくれた作品といったものが、必ず一つはあるはずです。

私で言えば、小説では『竜馬がゆく』が、人生観を変えてくれた作品ですね。マンガでは『ドラゴンボール』『はじめの一歩 』『ワンピース』『ハンターハンター』などが、本当に心に残っています。

これらの作品の主人公は、私に大きな影響を与えてくれた、自分にとっての目標とも言える人物像です。もっと言えば、主人公だけではなく、これらの作品に登場するキャラクターというのは、良い意味でも悪い意味でも、自分の人生観に影響があると言えます。

これはなにも私だけではなく、世界中の多くの人達にも、大なり小なり影響を与えているのではないでしょうか。

努力する大切さを教えてくれる

ドラゴンボールの孫悟空や、はじめの一歩の幕之内一歩といった主人公は、とにかく《目標をもって努力する》ことの大切さを教えてくれます。

「たかがマンガじゃねぇかよ」と言う人もいるでしょう。ですが、マンガというのは、その原作者が読者に向かって伝えたいメッセージを詰め込んでいるんです。何が大切で、どのように生きれば良いのか、をマンガという作品を通してメッセージを伝えています。

例えば、ドラゴンボールの孫悟空は、惑星ベジータで生まれた戦闘民族サイヤ人なのですが、そのサイヤ人の中でも最下級戦士です。いわゆる《落ちこぼれ》というやつですね。

その落ちこぼれが、必死に努力して、遂には《宇宙最強》というところまで上り詰めてしまいます。

「落ちこぼれでも必死に努力すればエリートを超えられるかもしれねぇぞ」といったセリフがあるのですが、こういったセリフを通じて、世界中の読者に大切なことを伝えてくれているんだと、私は思っています。

名作を輝かせるために動く影

世に出ている名作は《光》です。光がより一層輝くために、その影となって努力している人が大勢います。

①原作者

これは当然ですね。原作者がいないと作品自体が生まれていません。しかし、一つの作品を生み出すために、原作者というのは文字通り《命を削って》物語を作り出しています。

『このペースでは原稿が締切に間に合わない』となった場合、出版社がホテルを用意して、作家を缶詰状態にします。

とある新人賞を獲った小説家の卵が、ホテルの一室に泊まったときの話ですが、夜中に奇声を発したり、物を投げたり、壁などを蹴ったりしている音が聞こえてきたそうです。なぜ、そんな音が聞こえてきたのかというと、隣で某作家が締め切りギリギリで缶詰状態になっていたらしいのです。

どういうことかというと、筆が思うように進まずイライラして、暴れていたようなんですね。つまり、これほどの想いをして、私たちに感動する作品を送り出してくれているのが、名作の原作者なんだということです。

まさに《命を削って》生み出していると言えますね。

②編集者

作家には担当の編集者が付いています。編集者は、作品を第三者として的確に評価して、作家にアドヴァイスをする重要な人物です。

読者の声を汲み取って、ストーリーの展開や登場人物の心情などをどう表現していくか、などを作家へ提案して、物語の行く末を二人三脚で作り上げていきます。編集者に全く頼らない作家もいるそうですが、最終的には編集者のOKが出ないと、原稿は完成しません。

作家が命を削って生み出した作品に、肉付けする人が編集者だと言っても良いかもしれませんね。

③出版社の営業

マンガ雑誌などの連載作品は、話が進んでいくと《単行本》として売り出されます。この発行部数を決めているのが営業なんですね。

編集者は「とにかく作品を広めたい」と思っているのですが、営業は出版社の利益も考えなければいけません。売れると見込んだ作品は発行部数を多くしますが、売れないと看做した作品に関しては最低発行部数で抑えます。

そうやって、バランスを考えなければいけないので、出版社の営業というのは悪役に徹しなければならない辛いポジションとも言えますね。

ただ、売れそうなのに宣伝費をかけることが出来ない新人作家の作品などの場合は、お金をかけずに売り出す方法を考えて、なんとかその作品を世に出そうと知恵を絞ります。こういう表には出ない様々な努力によって、名作というものが生まれます。

《勝手に売れる作品なんて一つもない》ということなんですね。

④書店の店員

読者と直接の繋がりを持っている書店が無ければ、どんな面白い作品も世には出ません。

昨今は、本の売り上げ自体が伸び悩んでいるので、閉店に追い込まれてしまう書店が多く、作品と読者との架け橋がどんどん減ってきています。本当になんとかしないといけない状態ですよね。

書店の店員さんが、自分のイチオシ作品を店頭でプッシュすることで、人気のなかった作品が大化けすることも多々あります。

なんとか、この出版不況を脱する環境を作っていかないとダメですね。

⑤読者

やはり、名作を生む最大の功労者は、なんといっても読者です。読む人がいなければ、名作なんて絶対に生まれません。

ま、これは『卵が先か、にわとりが先か』ということになってしまいますが、やはり読んでくれる人がいなければ、どれだけ良い作品が生まれても、名作にはなりませんよね。

『求められているストーリー』『心を打つメッセージ』といった読者のニーズにピタリとハマったものが、どんどん名作へと成長していくんでしょう。

読者のアンテナというのは、気まぐれにあらゆる方向へ向きますからね。

あとがき

今回は、名作の光と影の部分を、自分なりに書いてみました。

私たちが、感動して涙を流したり、面白くて笑ってしまったり、人生の目標になったりする作品というのは、様々な人たちが影で動いてくれているお陰だということですね。決して表に出ることのない人たちが、汗を流し、靴底をすり減らすことによって名作が生まれます。

ついつい軽い気持ちで読みすすめてしまうマンガや小説。一つの作品に詰まっている想いというのを知ることで、もっと作品に対しての愛情が生まれるのではないでしょうか。

私たちに感動を与えてくれる、数々の名作に感謝したいと思います。

それでは、今回はこの辺で。