武術とサッカーを融合した破天荒な映画

少林サッカー

独特の世界観が魅力の映画

一時期は、日本中で人気が爆発していた香港映画ですが、最近は陰りが見えていますね。

香港映画といえば、やはりカンフーを主体に置いた映画が主流で、ブルース・リーやジャッキー・チェンといえば、知らない人はいないほどのスターですよね。

その香港映画界でも、一種独特の世界観を描いた映画を製作して、トップクラスの人気を誇る《チャウ・シンチー》は、絶対にはずせない人です。

カンフーを、カンフーとしてだけ描くのではなく、別の世界と組み合わせることで、新しい上に楽しいジャンルとして成立させているる。まさに天才と言える人でしょう。

その中の一つが、《少林サッカー》という映画です。

笑いがあって感動も含まれるストーリー

チャウ・シンチーといえば、コメディ要素が強い映画だと認識している方も多いかと思います。

確かに、至るところに笑いの要素が盛り込まれていて、観ている者を飽きさせない世界を描いているのがチャウ・シンチーの魅力です。ですが、その笑いの要素が多い世界の中にも、要所要所にきちんと《感動》というファクターが含まれているんです。

あまりにバカバカしくて笑えるシーンが満載の映画を作るチャウ・シンチーですが、その根本というのは《友情》や《愛》がテーマとして描かれているんですよね。

今回お話する少林サッカーも、バカバカしいと思える笑いの要素の中に《感動》というファクターが含まれている映画なんです。

笑い・涙・友情・男女愛の全てがある

チャウ・シンチーの映画というのは、笑いのシーンはとことんバカバカしく描いているのが特徴です。思わず『クスッ』と笑える感じのスタイルなんですよね。

そして《感動》のシーンなんですが、これもあまりやりすぎない形にして描いています。感動シーンというのは、あまりやりすぎると返って《不快感》が残ってしまいます。その難しいバランスを上手く表現していると言えますね。

少林サッカーでも、この辺りのバランスが絶妙で、なんだか知らないうちに心に残ってしまうんです。

例えば、少林チームの『鉄の鎧』がキーパーをしたシーンには《愛と友情》が盛り込まれています。

愛の告白をしてから果敢に挑む

少林チームのゴールキーパーである、ブルースリーっぽい《魔の手》を持った選手。彼が敵の集中砲火を浴びて倒れてしまい、代わりに『気』の達人である《鉄の鎧》がキーパーを買って出て敵に立ち向かうシーンは、思わず涙が出てしまいます。

覚悟を決めた《鉄の鎧》が、多数の敵を目の前にして、携帯電話で想いを寄せる女性に愛を告白し、仲間のために自らの身を呈してゴールを守ります。

この俳優、外見は日本の某お笑い芸人にそっくりで、お世辞にもカッコイイとは言えない人なんです。ですが、このシーンの彼はどんな二枚目俳優にも負けない男らしさがにじみ出ています。

ま、演出のやり方が上手いと言えるのですが、思わず心が揺さぶられてしまうシーンですね。

さらに笑いと感動があるムイの登場シーン

鉄の鎧が倒されたことで、人数不足による試合終了となってしまう寸前、ヴィッキー・チャオが演じるムイが登場します。

スキンヘッドになったムイに、まずは驚いてしまいます。ちょっと笑えるシーンですね。

このときチャウ・シンチー演じるシンとムイの気持ちが通じ合うことで、男女愛が描かれているのですが、これまた良い感じで心が《ほっこり》してしまうんですよ。ちょっと微笑ましい感じのシーンと言えますね。

ムイがゴールキーパーを買って出て、ゴールに向かって歩いていくのですが、ゴールポストに頭をぶつけたり、敵のゴールで構えたりと、ここでも笑いが詰め込まれています。

試合再開後、敵の強烈なシュートをムイが得意の太極拳で受け流しながら、ボールに強い回転を加えてシンへパスを送るのですが、ここでも二人の愛の連携が描かれていて、すごく良いシーンとして描かれています。

敵のユニフォームがビリビリに破けながら吹き飛んでいくシーンは、バカバカしいのですがすごくカッコ良くもあり、なんだか気持ちがスッキリするクライマックスです。

こういう見せ方も、チャウ・シンチー独特の演出方法と言えますよね。

なぜか日本の芸能人にそっくりな俳優が多い

チャウ・シンチーの映画に限らず、香港の役者というのは、なぜか日本の芸能人にそっくりな人が多いですよね。

少林サッカーでも、敵チームの監督は、関西が誇る今は亡きシンガー《やしきたかじん》にそっくりですし、前述の鉄の鎧は、お笑い芸人である《Mr.オクレ》にめっちゃ似ています。

同じ東洋人ということで、民族的に似た人が多いのでしょうが、それにしてもそっくりな人が多いのには、ちょっと笑えてしまいますね。ま、向こうから言わせれば「日本の芸能人が私たちにそっくりなんだよ」と思っているでしょうけど。

他の香港映画を観ても、本当に日本のお笑い芸人やタレントにそっくりな人が多く、そんな役者を見つけることも楽しみの一つではあるのですがね。

あとがき

今回は、少林サッカーのことについて話しました。

この映画、日本でもヒットしたのですが、もしまだ観ていない方は、ぜひ観ることをオススメします。とにかく、ハチャメチャで笑えて、そして感動も味わえる素晴らしい映画ですよ。

気持ちが落ち込んでいるときや、嫌なことがあった日などに観ると、スッキリ爽快な気分になれます。

超オススメ映画の一つですね。

それでは、今回はこの辺で。